今般、H24/8の消費税法改正について国税庁から概要説明資料(H25/3)が示されました。
この中に事業再編をご検討中の事業者の皆様に影響のある改正が含まれていますのでご紹介します。
【特定新規設立法人にかかる事業者免税点制度の不適用制度】
(解説)
税制改正の文章は事業者の皆様にとっては多少難解かもしれませんので、しょっぱなから私の解説から始めてしまいます。
(国税庁の記載内容を忠実にご確認されたい事業者の方は↓の(概要)をご確認下さい)。
「特定新規設立法人にかかる事業者免税点制度の不適用制度」とはたとえ1,000万円未満の資本金で会社を新設しても、その新設会社の過半数の株式を実質保有する特定の者・会社が存在していて、その者・会社が課税売上5億円を超えている場合(詳細な要件は(概要)参照)には、一定の新設会社に通常認められている設立後2事業年度分の消費税の免除は認めません、つまり設立初年度から消費税を納めて下さいという消費税改正です。
資本金1,000万円未満の会社は設立後2事業年度は消費税は納めなくてよいという話は事業者の皆様もよくご存知かと思います。しかしこのようなルールをみて、その2年間を利用して何とか消費税を納めなくてよい方法はないものかと思いをめぐらせてしまう経営者も中にはいらっしゃることでしょう。今回、「それはさすがにやりすぎでしょ」というスキームに対して一定のタガをかけた改正だと考えれば分かり易いのではないでしょうか。
今回の改正では、例えば消費税を納付しなければいけない事業規模の会社が、新設会社を作って、その売上の一部を新設会社に移すことによる租税回避を防止するということが大きな目的の一つといえるでしょう。
ここのところ、新設後2事業年度の消費税免除に対する課税当局による修正が続いています。目新しいところでは新規設立の会社であってもH25/1以降開始する事業年度から「特定期間」の判定が導入され、設立2事業年度であっても消費税が課税される場合について改正消費税法の適用が始まっています。事業者の皆様の中には、新規設立後にこの法改正を知って、あわてて決算期を変更して課税開始時期を遅らせたなんて方もいらっしゃるかもしれません。消費税はほとんどの事業者の皆様にとって直接的な影響が及ぶ税目であるため消費税法改正は事業者の皆様にとっても大きな関心事項だと思います。これは課税当局側も課税の公平の観点から消費税の事業者免税点制度を注視していることの現れだと言えます。
(概要)
その事業年度の基準期間がない法人で、その事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円未満の新規設立法人のうち、次の①②の両方ともに該当する法人(特定新規設立法人)については、当該特定新規設立法人の基準期間のない事業年度に含まれる各課税期間における課税資産の譲渡等について、納税義務が免除されないこととなりました。
①その基準期間がない事業年度開始の日において、他の者により新規設立法人の株式等の50%超を直接・間接に保有される場合など、他の者により当該新規設立法人が支配される一定の場合(特定要件)に該当すること
②上記①の特定要件に該当するかどうかの判定の基礎となった他の者及び当該他の者と一定の特殊な関係にある法人のうちいずれかの者(判定対象者)の当該新設法人の当該事業年度の基準期間に相当する期間(基準期間相当期間)における課税売上高が5億円を超えていること。
(適用時期)
平成26年4月1日以降に新規設立される法人について適用。
(参考:「特定期間」にかかる事業者免税制度)
当課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても、当課税期間の前年の1月1日(法人の場合は前事業年度開始の日)から6か月間(=特定期間)の課税売上高が1,000万円を超えた場合、当課税期間においては課税事業者となります。 なお、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することも可能。
【適用開始時期】 平成25年1月1日以後に開始する年又は事業年度から適用。
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